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Bloody xxx Strawberry 第三話 What is this feeling?

 眠い。頭がぼーっとする。居眠りで落馬して事故死してもおかしくない。
 それもこれもシオンのせい。彼女が自分を抱き締めて眠りさえしなければ、今こんなにも眠たくはなかったはずなのに。
 ――無駄に意識してしまうっつーの!
 ハインツは自分の前で馬を走らせるシオンの背から視線を逸らすことができない。今朝からずっとシオンのことを考えると、余計な方向に暴走している。
 ――こいつ、もしかしてオレに気があるのかな? にしては向こうの態度は……。
 至って普通である。彼女は相変わらず昨日のことを悪びれる様子も、恥じらいも見せない。
 ――ってなんかオレがシオンに気があるみたいな感じじゃねーか!
 ハインツの顔に血がのぼる。余計にふらふらして、馬に乗っているのもままならないような状態だ。
 ――シオンは美人だしスタイルもいいから、ああいうことされると本能的に興奮しちゃうのかもな、うん。……でもオレとシオンじゃ絶対釣り合わねーなぁ。
 ハインツの顔はどちらかというと童顔なほうで、年齢のわりに幼く見えたり頼りない印象を受けることが多々ある。華やかな美貌と抜群のプロポーション、そして最も特徴的なサファイアの髪とルビーの瞳の彼女に見合う外見の男性は、ルートヴィヒのような美太夫かソーラル王のような猛々しい肉食系だとハインツは思う。絶対自分ではない。
 ――オレ、何考えてるんだよ! 
 全部全部シオンのせい。ハインツの心を無意識に掻き乱すシオンのせい。
 だからといって、彼女のことを嫌いになることなんかないが。嫌いになんかなれない。
「おーい、ハインツ~。ちゃんとついてきてるか~?」
 シオンは振り返り、かなり後方にいるハインツがちゃんとついてきてるか確認をとる。
 彼女の切れ長の大きな赤い赤い瞳に捉えられ、ハインツの胸はどくん、と跳ねあがる。
「なにか返事しろ」
 彼女のぶっきらぼうな声も、なんだか可愛げのあるものに思えてくる。ハインツは自分の頭がいよいよおかしいものになった、と疑わずにはいられなかった。
「ハ、イ、ン、ツ!」
「は……はいっ! ど、どうかしたか」
「どうかしてるのはおまえのほうだろう」
 シオンは呆れたようにため息をついた。
「後にも先にも森ばかりでつまんない。人間も魔獣もない。だからおまえと話でもしようと思ったのだが」
 ハインツは自分でも元気すぎる声で「おう!」と返事した。
 ――ううっ、なんだよオレ。うれしいみたいじゃねーか。
 シオンはハインツが来るのを待って話し掛けた。
「どうした、顔が赤いぞ? 特に目が」
 ――お前のせいだよ! 人の気持ちも知らずに……。
「やはり寒空のなか野宿は少しきつかったようだな。多少の魔法で身体が温かかったとはいえ、術者の意識がなくなれば効力を失う」
「……人を抱き枕にしといて、それでも寒いとかどの口が言ってるんだよ」
 「いや、誰かに寄り添うと温かいぞ。事実おまえも温かかった」と、シオンは悪びれることなく言う。
「――シオン」
「どうした」
「今回の旅の同行者がオレではなく、別のヤツでも寝るときに抱きつくのか?」
「なんだ、急に」
「笑いごとじゃねぇって!」
 けらけら笑うシオンをハインツは一喝する。ハインツは真剣な表情でたずねる。
「なぁ、どうなんだ?」
「そうだな……。おまえだけだな」
 ――マ、マジ?
 ハインツの表情は心なしか明るくなった。
「ハインツはわたしの嫌がることをしないから安心できる」
 シオンは穏やかな笑みを浮かべて言った。笑うとかわいいなー、とハインツはごくりと唾を飲み込んだ。
「でもさ、それはシオンの単なる思い違いかもしれないぜ? オレもお前を見ていて、いろんなことを考えないでもないから……」
「次に何を賭けて戦おうかとか、そういうことか?」
「ちっがーう!」
 ――あーっ! なんだよ、こいつ。やっぱり何もわかっちゃいねぇ! オレの気持ちなんか。
 ハインツはシオンを抜いて森を走り抜ける。ベートーベンとは仲良くなったから言うことを聞いてくれる。
「おい、ハインツ」
「もうお前なんか知らねー! お前、絶対オレを勘違いさせようとしてる。それともそれはお前の策略か?」
「何言ってるんだ? わたしは別に……」
 ――こいつ、絶対に何もわかってない。オレの気持ちなんか。オレ、少しずつお前のこと、シオンのことを…………。
 今までとは違う目で見ようとしている。
 気の合う友達でも、最高のライバルでもない。
 もっと、もっと何かが違う。もっと、根本的に。
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板東ひかり

Author:板東ひかり
平成生まれの、作家志望女子のブログです!
このブログは私の自作ドレス・ブックレビュー・ポケモン話の3本柱でやってま~す。
現在大絶賛就活中。
不景気は厳しいです。

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